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【ましき夢創塾】「ちゃんと前を見て歩こうと思った」〜東北の高校生が熊本の中高生に伝えたかったこと〜

2017.1.20

こんにちは。熊本・益城町から井下友梨花がレポートします。


昨年末の12月29日に、益城町のテクノ仮設団地にて中高生による交流イベントを開催しました。

東日本大震災を経験した東北の高校生たちの「熊本の中高生たちに会って交流したい」という思いを受け、実現したイベントです。

参加したのは、熊本地震の被害に遭った益城町内の中学生たち。
彼らと交流するために、宮城県女川町から3名、関東から2名、関西から2名、熊本県内からも9名(うち益城町出身者5名)の高校生が集まり、高校生スタッフとして会を盛り上げました。


中学生とのイベントを控えた前日。
高校生スタッフたちは、事前合宿を八代市日奈久温泉で行いました。はじめに学生団体わっかもんによる「熊本においでよ~被災地訪問・復興ツアー~」と称したスタンプラリーを実施しました。

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▲八代駅での集合の様子。

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▲わっかもん代表の水口侑紀さん(高校2年生)と坂口愛実さん(高校3年生)。「地震による風評被害で日奈久温泉の観光客が減っていること」に問題意識を持ち、企画・実施しました。水口さんは日奈久温泉の観光協会会長に自らこの企画を相談しに行き、関係者を巻き込んで実施に至りました。

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▲手作りのスタンプラリー台紙。

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▲3班に分かれて、日奈久温泉街を回ることに。

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▲ヒント探しがかなり難しく、名物の日奈久竹輪を食べる暇もなかったようですが、楽しんでいる様子でした。

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▲ほとんどが初対面の高校生メンバーでしたが、スタンプラリーを通して少しずつ会話が増えていきました。

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▲スタンプラリーが終わった後も、宿泊でお世話になった「旅館 宝泉」の女将さんの話を熱心に聞いていました。とくに関東・関西からやってきた高校生にとっては、なかなか聞けないリアルな話ということもあり、メモをとりながら真剣に耳を傾けていました。


夜は、翌日に行われる交流イベントの準備です。
益城町出身者は午前中の「益城町ツアー」の企画を。それ以外の高校生たちは、東北・女川の高校生の話をブラッシュアップする時間を過ごしました。東日本大震災で被災した当時の話を熊本の中高生たちにちゃんと伝えられるよう、話し合いました。

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▲小学校高学年までさかのぼって話しながら、伝えたいメッセージを確認。「こんなことを伝えたい。この部分が大事」「どうやったらもっと伝わるかな」など真剣に話し合う声が聞こえてきました。それぞれが、熊本地震について思うことがあって集まったこともあり、語り合いは夜中まで(ほとんど朝まで)続いていました。

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▲そうして迎えたイベント当日。午前中は益城町に移動し、益城町出身の高校生による益城ツアーを実施しました。写真は10月末まで避難所になっていた総合体育館です。

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▲参加したメンバーのうち、4名の母校である木山中学校。渡り廊下が地震の影響により壊れています。益城ツアーは左記のルートで回りました。【御船IC→惣領交差点→スーパーキッドで下車(ここから徒歩)→初市通り・木山神宮・町民グラウンド・総合体育館&ミナテラス・木山中学校→バスにて津森の断層→テクノ仮設団地】


ツアーの後は、いよいよテクノ仮設団地で行う交流イベントです。益城町内から10名の中高生が参加しました。

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▲全体の様子。テクノ仮設団地みんなの家にて行いました。

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▲まずは3班に分かれ、カレー作り。

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▲カレーを食べる時点ですでに打ち解けていました。

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▲ここからは、東北の高校生が話をする時間に入ります。熊本に来る前は女川向学館で活動していた芳岡(通称のぶさん)から3名を紹介。のぶさんたちの関わりをみていると、長い時間を一緒に過ごしてきたからこそ築き上げられた信頼関係を感じずにはいられませんでした。

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▲高橋杏斗さん(女川出身の高校1年生)。震災当時小学生だったときに感じたことを伝えました。避難所で大人のことを見ながら感じたこと、自分がやりたいと思ったらそれを行動に移すことの大切さを語りました。

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▲阿部昴星さん(女川出身の高校1年生)

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▲佐藤諒さん(女川出身の高校2年生)

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▲3名の話の後、益城町の中高生がこの9か月間をどう過ごしていたかを伝える時間を作りました。熊本地震のことを知りたいという気持ちで来ている高校生たちは、真剣に話を聞いていました。

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▲イベント終了後、テクノ仮設団地での集合写真。

参加した益城町内の中学生からは、
「色んな人の考えに触れて、自分のこれからとか考え方に向き合えたので良かった」
「自分も東北とかに行って、いろんな人に話を聞きたい!」
「ちゃんと前を見て歩こうと思った」
などの感想がありました。


私自身、別業種から転職して熊本に来て9か月が経ちました。
「地震の経験をマイナスからゼロにではなく、マイナスからプラスに」ということが、どう子どもたちと関わることで実現するのか。悶々と考え続ける日々が続いていました。しかし、今回のイベントで中高生の目の色が変わる瞬間を何度か垣間見るうちに、中高生の出番を作っていくことが、これからの益城町の未来に貢献していくのだと感じられる機会となりました。