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【被災地の教育現場 vol.6】 復興絵はがき

2015.6.16

女川町には『復興絵はがき』というものがある。
二枚一組で、はがきになった絵は、女川一中(現女川中)生が描いたものだ。

一枚は震災前の美しい海の絵。
平成22年度の海の絵コンクールで入賞し、生徒会文集の表紙にも使われた作品だ。文集が配られた日が3月11日だった。

そして、もう一枚は別の生徒が震災後間もない頃に描いた絵で、がれきの山と化した町を子ども達が見ているという構図だ。

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8割の建物が流され、人口の1割近い人々が犠牲になった町を見ている。
子ども達は後ろ姿なので、どんな表情をしているか分からない。泣いているのか、歯を食いしばっているのか。
描くのがつらくて、途中でやめようと思ったそうだ、でも「描かなくては」と筆をとり続け、この絵ができた。
題は「生きる」。

現在、大学生になった作者は「あの子達は、苦しんでいた私自身をイラスト化したものでした」とこの前教えてくれた。
この絵を見たときの私もそうだ。巨大なガレキの山を前にすると、底なし沼のような悲しみ、無力感が襲ってきて、誰もが立ち尽くしていた。
この絵の子ども達に自分を重ねた人はたくさんいるはずだ。 

よく見ると、子ども達は手をつないでいて、ヘルメットをかぶり、スコップを背負っている。
私にとって、震災後の4年間は、この絵を抜きには語れない。
生きることは大変なことだ。
だけど、一人じゃない。

≪つづく≫


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このブログ「被災地の教育現場」シリーズは、
元 女川中学校教員である佐藤敏郎先生が、教育現場を見てきた先生として、
コラボ・スクール女川向学館のメンバーとして、被災地の教育現場の現状を
つづる連載です。
学校現場の視点、保護者の視点、地域の視点でコラボスクールの価値と
可能性についてつぶやきます。

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