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【被災地の教育現場 vol.10】 カタリバがやって来たⅠ

2015.8.11

先日、テレビを見ていたら、「復興は何パーセントくらい進んだと思いますか」という質問があって、地元の人が困惑しながら答えていた。

私たちは何かというとすぐに数字にしたがるものだが、こんな場合は何を基準に算出すべきなのか。かさ上げの高さ?仮設住宅の数?漁獲高…?
100%があるとすれば、それはどういう状況のことなんだろうか。いずれにしても簡単にはイメージできない。

震災から4年4ヶ月。この間、様々な経緯があって今がある。大津波で被災した経験も初めてだけど、復興も初めて、支援する方も初めて。みんな迷いながら、手探りで今日にたどり着いている。これからもそうだ。

支援には大きく二種類あって、たとえれば「花束」と「種」みたいな感じだ。どちらも必要、どちらもありがたい。
カタリバは明らかに後者。向学館は瓦礫の中にカタリバが蒔いた種だ。

2011年6月末、なんの確証もない中「女川の小中学生の皆さん、放課後に来てください」という種が蒔かれた。

あの時期は、多くの生徒が避難所での生活を強いられ、下校後の居場所がなかった。当時、私は女川第一中学校(現女川中学校)の教務主任だったが、ありがたいと同時に、大丈夫なのか?という不安も正直大きかった。

だから、学校として大々的に宣伝した記憶はない。
ところが、7月の開校時には220人以上の小中学生が向学館に通うことになった。全体の4割以上の人数だ。

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根付かないかもしれない。芽が出ないかもしれない。花や実をつけないかもしれない。
だけど、種が蒔かれなければ何も始まらない。

今、向学館には、高校生…つまりあの頃の中学生が学校帰りによく立ち寄って、スタッフと談笑したり、自習室で勉強したり、町づくりについて話し合ったりしている。
4年前には想像つかなかった。

≪つづく≫


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このブログ「被災地の教育現場」シリーズは、
元 女川中学校教員である佐藤敏郎先生が、教育現場を見てきた先生として、
コラボ・スクール女川向学館のメンバーとして、被災地の教育現場の現状を
つづる連載です。
学校現場の視点、保護者の視点、地域の視点でコラボスクールの価値と
可能性についてつぶやきます。

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