代表メッセージ

大槌臨学舎校長(NPOカタリバ代表理事)今村久美より、
MyProjectにかける想いをお伝えします。

昨年3月、コラボ・スクールで学んだ生徒たちは言いました。

「これからは支援される側を卒業し、自分が誰かを支援する側になりたい」

震災でたくさんのものを失った生徒たち。先が見えない夜を過ごし、
様々な苦しみを乗り越えてきた彼らは、世界から頂いたたくさんの支援の
優しさと出会い、震災前は持ち合わせていなかった想いを巡らせています。

そして、また新しいスタートを切り、歩みをはじめました。

生徒たちの本当の気持ちや苦しみの涙を、きっと私は最後まで
理解してあげられることはできません。

震災前のこの町を、ここで流れた時間を、生徒たちの思い出を、
そしてすべてを失った苦しみを、そのひとつひとつを
私たちは体験していないからです。

だからいつも、指導をしながら悩みます。

かけるべき言葉を間違えるかもしれない。
傷つけることがあるかもしれない。

私自身、そしてコラボ・スクールで生徒と向かい合うスタッフ全員が、
常に葛藤をしながら教育活動を始めて、2年目が過ぎました。

生徒と向かい合い続けてきた今、確信をもって願うことは、
「今のここで過ごす生徒たちだからこそ持てる強さ・弱さを
前提にしたうえで、未来をつくる力を引き出したい。」ということ。

復興に向けて、確かに行政の動きは遅いかもしれない。
ただ、町の役場はいつも遅くまで電気が灯っています。

「住民の声をきけ」といえども、「住民の声」とは一律ではない。
そんな中、たいへんなご苦労をされながら、苦渋の意思決定を
一つひとつされていることと思います。

大人たちも、先の見えない虚無感と闘いながら、
町のために仕事をされています。

そんな今だから、子どもたち、生徒たちには「待っていればどこかの誰かが
復興してくれる。」ではなく、自分が大切に思うコミュニティに対して
できる小さなアクションができる人であって欲しい。

そんな思いで始まったのが「マイ・プロジェクト」です。

高校生だから、と、甘えさせるつもりはありません。

勉強や部活と両立しながら、知識を得、関係者を説得し、
自分のプロジェクトを実行します。

私たちスタッフは、寄付者の皆さんの気持ちを代弁する思いで、
生徒が決めたことを実行していくプロセスを応援し、
逃げそうになったら叱り、折れそうになったら励まします。

生徒たちのささやかな取り組みを、ぜひとも応援してください。

皆様のご協力を何とぞよろしくお願いいたします。

NPOカタリバ代表理事 / 大槌臨学舎校長 今村久美

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2001年に任意団体NPOカタリバを設立し、高校生のためのキャリア学習プログラム「カタリ場」を開始。2006年には法人格を取得し、全国約400の高校、約90,000人の高校生に「カタリ場」を提供してきた。2011年度は東日本大震災を受け、被災地域の放課後学校「コラボ・スクール」を発案。2011年7月に一校目の「女川向学館」を宮城県女川町で開校。同12月には、二校目の「大槌臨学舎」を岩手県大槌町で開校。被災地の子どもに対する継続的な支援を行っている。2008年「日経ウーマンオブザイヤー」受賞。2009年内閣府「女性のチャレンジ賞」受賞。
文部科学省生涯学習政策局政策課教育復興支援員。明治学院大学非常勤講師。慶応義塾大学政策・メディア研究科非常勤講師

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