熊本地震子ども応援募金

ご寄付については、こちらをご覧ください。
本ページ以下は震災直後の様子を伝えるレポートとなっております。


昨年4月に発生した熊本地震で甚大な被害を受けた益城町では、今なお多くの方が狭い仮設住宅で生活しています。カタリバでは、落ち着いて勉強できる場所を失ってしまった子どもたちに、昨年6月より「学習機会」と「居場所」の提供を通してサポートを行っています。仮設住宅の運営計画などから、子どもたちの多くが仮設から出ると予想される2019年3月まで、支援を続けたいと考えています。そのための費用のご寄付を、みなさまにお願いしています。


未だに400人以上の子どもたちが狭い仮設住宅に

2016年4月14日、16日熊本を襲った地震は、新学期が始まったばかりの子どもたちの生活を一変させました。被害が大きかった中学校では、5月下旬時点で通学する生徒の約4割、100人以上が体育館などに避難、その他に自宅の敷地内のテントや車中で生活している生徒も多くいたため、家庭学習をするのは難しい状況でした。また、震災から学校再開まで約1ヶ月間を要したため、授業の進度は大きく遅れをとってしまいました。授業の遅れだけではなく、新学期という大きく環境が変わるタイミングでのこの震災は、子どもたちの学校生活にも大きな影響を及ぼしました。現在も400人以上の小・中学生が仮設住宅やみなし仮設から通学していますが、震災前とは異なる大きく異なる狭い仮設住宅での生活は、決して勉強することに適した環境とは言えないのが実情です。

震災当時、益城町は住居倒壊率5割、5,000人近くの住民が避難生活を送っていました

被害が大きい中学校では、全生徒の4割・100人以上が避難所等から通学(2016年5月末時点)


多くの子どもたちが「やる気が出ない」「一人になるのが不安」と訴え

震災当初、多くの子どもたちが「やる気が出ない」「一人になるのが不安」「怒りっぽくなった」と訴える中、落ち着いて、安心して勉強できる場所と時間を確保すること、震災や避難生活でストレスを溜めた心のケアをしていくことが課題でした。私達は昨年6月より、被災した生徒が多く通う益城町内の中学校の教室で、放課後などの時間を利用して中学1年生から3年生までの学習のサポートを始めました。また放課後は部活動のため学習会に参加できない子どもたちのため、現在は仮設団地でも夜の時間の学習会を行っています。

一人ひとりに合わせて丁寧に指導

地元の大学生を中心としたボランティアが参加


一人ひとりの学習を丁寧にサポート、心のケアも

自習を基本に、常駐するスタッフや地元の大学生を中心としたボランティアが、わからないところを個別に指導します。開始前や休憩時間には被災の体験やつらい気持ちを話すことができ、傷ついた心のケアをする「居場所」としての役割も果たしています。校舎の一部が使えなくなったり、学校行事が行えなくなった学校で大変な日々を送る先生方や教育委員会、地域の方々とコラボレーションして活動しています。

参加している生徒の声をご紹介します。
 

丸山 大地さん(当時中3)

空手が強い高校に入れるよう、勉強を頑張りたい 家が被害にあって「赤紙」が貼られてしまったので、今は家の敷地内にある空手の道場に住んでいます。前は自分の部屋で静かに集中して勉強できたのが、今はテレビを見ている家族の横で、うるさくて集中できない時もあるのですが、気まずくて「テレビ消して」と言いにくいですね。地震の前は普通にやれていたことができなくなってしまったので、今までどれだけありがたかったか、と気づきました。 ここではわからないところも教えてくれるので、勉強はわかりやすいです。受験があるので、地震があったから遅れてしまった勉強を取り戻さないといけないと思っています。空手をしているので空手が強い高校に入りたいのですが、勉強のレベルも高いので、さらに勉強も頑張ろうと思っています。

礒部 晏さん(当時中3)

「勉強できることは当たり前じゃない」ことに気づいた カタリバの学習会はとても集中して勉強に取り組めるところです。でも勉強だけじゃなく、悩みがあれば先輩たちは聞いてくれるので、語り合うこともできる場所だと思います。 新学期に震災が起こり、勉強が遅れることにすごく焦っていました。そんな中始まったのがこの学習会でした。勉強ができる場所と、勉強を教えてくれる人がいる。環境があったから焦りを行動に変えることができました。 震災を通じて私は「勉強できることは当たり前ではない、できる時にやらないと」と思うようになり、自主的に勉強することが増えました。環境があるおかげで自習もたくさんでき、いまでは震災の遅れも取り戻せたかなと感じています。たくさんの方々の応援があって、こうして学べることにとても感謝しています。


東北で2,000名の子どもをサポートしてきた経験を活かして

NPOカタリバは、2011年の東日本大震災以降、宮城県女川町・岩手県大槌町にて「コラボ・スクール」を開校し、のべ2,000名を超える子どもたちへ学習機会と居場所を提供してきた経験を活かして、熊本の子どもたちのサポートを行っています。益城町の仮設住宅がなくなる2019年3月まで、子どもたちが安心して学習できる機会と居場所を安定的に届けていくためには、現地に常駐するスタッフの人件費や滞在費、ボランティアスタッフの交通費などの資金が必要です。どうか、皆様のお力を貸していただけないでしょうか。


「震災があったから、夢をあきらめた」という想いを抱かせたくない

新学期が始まって間もなく震災に遭い、家族や生まれ育った家、あたり前の日常を失い、余震の不安や避難 生活へのストレスを抱えた子どもたち。しかし、「震災があったから夢をあきらめた」「志望校に合格できな かった」そんな悔しさまで味わってほしくはありません。子どもたちが悲しみを強さに変えて未来を切り拓いて いけるように、あなたのご支援をお待ちしています。

集中して学習に取り組む子どもたち

1日に約100名の中学生をサポート

地域とのコラボレーションで、子どもたちを支えていきます。

益城町教育委員会 学校教育課長補佐 坂本文隆様

子どもたちの世界をもっともっと広げてほしい 混乱の中、先生と生徒もやらないといけないことが山積みでした。そんな中カタリバの支援は生徒にとってはもちろん、先生にとっても大変助かりました。学習支援だけではなく、震災により一時は実施を諦めた職場体験などの学校行事のサポートもしてもらい、そこで新たな地域連携も生まれました。 学習支援についても、落ち着いた学習環境を作るための提案・実施・成果を見せてくれ、子どもたちの成績も上がりました。とくに意欲の向上に大きく貢献してくれています。 子どもたちにとって、仮設での生活は大変です。震災前とは違う狭い環境で、親たちも仮設から出るための次のステージに向け、大きなストレスを抱えています。そんな中で落ち着いて勉強できる環境を作ることは必要です。 カタリバは学力だけではなく、夢を持ってそれを実現するためのエネルギーの醸成をしようとしてくれています。子どもたちの世界をもっともっと広げてほしいです。