ボランティア募集松田佳季さん

少し主体的に動いただけで
主体的な人たちと繋がれる

松田佳季さん(大学生)


何かを少しでも学びたい。向学館の活動に参加したのはその想いからでした。3月11日、大学3年生だった僕は就職活動の真っ只中にいました。企業の採用活動は中止、画面越しの凄惨な光景を眺めながら悶々と過ぎる数日間。今、本当にすべきことは?
現実に起きていることとの懸隔が苦しく、就職活動を続けつつもその自問は常に頭の中にありました。実際に向学館で活動できたのは12月。教えることへの不安もありましたが、今振り返ると杞憂だったと思います。

向学館での生活は、個別指導を主として新しい机の搬入や生徒のメモ用紙作りなども行いました。自分は個別の生徒が毎回のように同じだったので、空き時間考えるのは主に彼の勉強のこと。どうしたら効率よく進むか。自分に何ができるのか。だから「たまには男の先生もいいと言っていたよ」と人づてに聞いたときは素直に嬉しく、しかし一方で心苦しさも感じました。 新しい人に慣れてもすぐ変わる。決して最良の環境でない中、受験と向き合わなければならない彼らを思うと、自分の立場が歯がゆかったです。

何かを少しでも学びたい。被災地の現状に触れ、その想いはより強くなりました。直接的な活動に限ったことではありません。吐く息が白いシェアハウスでの生活はおにぎりが朝凍ってしまうなど新鮮な驚きばかりでしたが、唯一暖房器具のある居間にみんなで固まって過ごした時間はとても貴重でした。 昼過ぎまでの自由な時間、片手間に論文を仕上げ居間でボランティア仲間とわいわい話しながら過ごす毎日。海外大学院でMBAの勉強をする社会人の方から、同年代で同じような悩みを持つ大学生まで、ぬくぬく暮らしていたら会えなかった人たちと、同じ食卓を囲む生活だからこそできる深い話がたくさんできたことは、とても大きな「学び」でした。 肩肘張り過ぎる必要はないのかもしれません。少し主体的に動いただけで、主体的な人たちと繋がれる。来てよかった。素敵な出会いに満ちた、向学館はそんな場所でした。


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