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【被災地の教育現場 vol.1】 新学期によせて

2015.5.08

はじめまして。佐藤敏郎です。
今年度より、週2回ほど向学館に通うことになりました。

学校現場の視点、そして、保護者の視点でコラボスクールの価値と可能性についてつぶやきます。
教員生活で、もっとも長く深くお世話になった女川のために、何かお役に立てればと思っています。よろしくお願いします。


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<Profile>
佐藤敏郎(さとう としろう)

元・宮城県女川町立女川中学校教諭。1963年、宮城県石巻市 (旧河北町)生まれ。
宮城教育大学を卒業後、87年度から国語教員に。
2002年度から、宮城県の派遣により、女川町教育委員会の社会教育主事を務め、05年度に女川第一中に着任。教務主任を経て、12年度、県教育委員会が震災時の教訓を踏まえて新設した防災担当主幹教諭に就任。
14年度、東松島市立矢本第二中学校を最後に退職。
「小さな命の意味を考える会」代表。

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春には匂いがあると、小さい頃から思っていた。
毎年、その匂いがする度に、ああ新学期スタートだなと、ドキドキワクワクしたことを思い出す。

去年と違う教室、新しい教科書、担任の先生…。

幼稚園から大学、そして教員生活28年、通算40年以上途切れることなく迎えてきたそんな新学期だが、今年はちょっと違う。
NPOカタリバの運営するコラボスクール、女川向学館の職員室にて新学期を迎えた。


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2011年7月、向学館がスタートしたとき、私は女川第一中学校勤務。
多くの生徒は避難所から通学、職員も交代で宿直をし、学校は毎日が非常事態のような状態が続いていた時期だ。私は教務主任だったこともあり、向学館のスタッフと話すことも多かった。

以来、ずっと関わり続けてきたが、スタッフの様子、そして子ども達の姿に4年間の向学館の進化が見て取れる。

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2011年の春、一中では新学期を前に、何もかも流されたガレキの中に種を蒔こう、そうしたら芽が出るかもしれない、そんなイメージで学校づくりをしようと話し合った。

今、思うに、それは震災があろうとなかろうと同じではないか。

花が咲き、実をつけるためには種を蒔かなければ、そして土を作らねば。
それが育てるということだ。肥沃な土は学校だけではできない。

春の匂い、それは草木の芽吹く匂いなんだと気づいたのは大人になってからだ。

《つづく》