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【被災地の教育現場 vol.12】 カタリバがやって来たⅢ

2015.9.16


23年度の学校は、すでに出来上がっていた年間行事計画の見直しを余儀なくされた。

できないことはもちろん、やる必要ないものはやらない。逆にやるべきことは多少無理してもやると校長は方針を示した。

たとえば、運動会や文化祭を実施するのは、最初から決まった。毎年盛り上がり、最も楽しみにしていた行事を、震災を理由にやめたくなかった。

そもそも、毎年同じことをすることがベストではない。
子ども達の成長のために、何ができるか、何をすべきかだ。震災があってもなくても、本来はそうなのだ。

たとえば、毎年なんの疑問もなく行っていた生徒総会。
ややもすると資料を読み上げるだけのマンネリ化しがちな行事だ。

23年度は生徒会費の集金はしないことになったので、予算についての議事とかはないし、どうせやるのなら、手応えがあって、全校の士気があがる行事にできないだろうか?図らずも生徒を交えて「生徒会ってなんだ?」「生徒会って何ができるの?」という議論になった。

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その結果、「中学生は女川のために何ができるか」についての全校ディスカッションや「学級目標紹介」といった新しいプログラムができた。(その後「学級目標紹介」は恒例になり、各クラス趣向を凝らす実に面白いプログラムになった。)

毎年、2年生は職場体験という活動があって、町内の事業所や店の協力で3日間のインターンシップのようなことをするのだが、さすがに23年度はやらないだろうと思っていた。

建物の8割が流された町でやれるわけはない。
ところが、校長の方針は「実施」だった。最初、耳を疑った。

震災のせいで貴重な学びの機会を失ってはいけない。むしろこの状況だからこそ「働く」意義やありがたさを体得するはずだと。たしかにその通りだが…。

そのプロデュースを全面的にサポートしたのがカタリバだった。体験可能な職場を探し、それを求人情報のように示し、行きたい職場の希望をとり、履歴書を書かせ、面接まで行ってくれた。

否が応でも生徒の意欲は高まる。例年より、はるかに本格的な職場体験となった。

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まともに営業を再開できていないのに生徒を快く受け入れてくれた多くの職場の皆さん、そして、見ず知らずの町をかけずり回って、学校と生徒と職場をつないだカタリバに、ずっと御礼を言わなくてはと思っていた。
当時の職員、生徒、保護者みんな感謝しています。ほんとうにありがとうございました。

例年より遅く2月の実施だったが、震災から1年も経たないガレキだらけの町で中学生の職場体験が行われた。

≪つづく≫

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このブログ「被災地の教育現場」シリーズは、
元 女川中学校教員である佐藤敏郎先生が、教育現場を見てきた先生として、
コラボ・スクール女川向学館のメンバーとして、被災地の教育現場の現状を
つづる連載です。
学校現場の視点、保護者の視点、地域の視点でコラボスクールの価値と
可能性についてつぶやきます。

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