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震災から1年にあたり、代表理事 今村久美からのメッセージ

2012.3.13

本日NPOカタリバが配信したメルマガに、震災から1年にあたり、
コラボ・スクールの設立時の思いや現在のビジョンなど、
代表理事 今村久美からのメッセージを記載いたしました。(以下引用)

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 カタリバの今村久美です。

 いつもカタリバのメルマガをお読みいただき、
 ありがとうございます。

 そして、ごぶさたしてしまっている方も、
 多くいらっしゃると思います。

 私は震災以降、宮城・岩手と東京を
 行ったり来たりしながら、生活をしていました。

 昨年夏までは避難所で寝泊りしながら、
 今は岩手県大槌町のシェアハウスで皆と暮らしています。
 コラボ・スクールを立上げるため、走り回ってきて、
 先週にようやく、中学3年生の高校受験が終わりました。

 発表まで、生徒全員の「合格!」を祈って、
 ドキドキしながら過ごしています。

 この1年間、被災地で子どもたちと接してきて、
 嬉しかったことがあったので、皆さんに共有させてもらいますね。

 それは、目をキラキラと輝かせながら、将来の夢を話してくれる
 子どもたちに、たくさん出会えたことです。

= = = = = = =

 私たちが立ち上げた「コラボ・スクール」は、
 被災地で、勉強する場所を奪われた子どもたちに、
 学習指導をする、放課後の学校です。

 なぜ私は、東北に行こうと思ったか?

 もちろん、「可哀想な子どもたちのために何かしたい」
 という想いもありました。でも、一番の動機は、

 「この被災地で、たくさんのものを失った子どもたちの中から、
  10年後に日本を支えるイノベーターが、
  生まれてきやすいのではないか?」

 そう考えたからです。

 たしかに、震災による悲しみは、
 子どもたちにとって、抗えない現実です。

 私が今、大槌臨学舎で受けもっているクラスでも
 26人中7人の生徒が親を失いました。

 ふとしたことで、家族の話題になると、
 目に涙を浮かべる子どもが、今もいます。

= = = = = = =

 でも、その悲しみに向き合うのが、彼らの課題でもあります。

 この現実を受け入れて、自分自身で乗り越えていく。

 そのために私たち大人ができるのは、
 彼らに寄り添って、“悲しみ”を“強さ”に変えるための
 学習機会をつくってあげることです。

 私たちは、コラボ・スクールで「勉強」を教えています。
 
 「何をやろうとしても、力が出ない・・」

 震災後は、そんな風に落ち込んだ子どももいました。

 彼らが、勉強を通じて「できることが増えた!」
 「昨日の自分より、一歩前に進んだ」

 そう実感することで、意欲が回復してきている。
 学ぶことが、心のケアにもなっているんだと感じます。

 

= = = = = = =

 私が今いる大槌臨学舎で、親御さんたちから
 喜ばれていることがあって、それは、

 全国からボランティアさんが1週間単位で来てくれて、
 代わるがわる勉強をサポートしてくれることです。

 生徒たちは、「はじめまして」「ありがとう」、そして
 「さようなら」を、たぶん日本で一番多く言う子どもでしょう。

 コミュニケーション能力は、確実に育っているでしょうし、
 なにより、震災前なら出会うことのなかった職業の方々、
 大学生たちと勉強の合間に話すことで、

 これまでは身近でなかった、広い世界を見通しながら、
 大きな未来を、思い描きやすい環境が整ってきています。

 子どもたちが、震災の悲しみを乗り越えるのに伴走し、
 かつては与えられなかったチャンスを提供することで、

 感謝の気持ちと明るさ、そして力強さを持って、
 新しいことに挑戦する人が、この地から生まれるだろう。

 そんな思いは、彼らの語ってくれる将来の夢を
 聞いて、強くなりつつあります。

= = = = = = =

「避難所でやさしく励ましてくれた看護師さん
 みたいに、将来なりたい」

「福祉の仕事でお年寄りの方々のために働きたい」

「前は保育士になりたかったけど、病院で働く姿がかっこよくて、
 震災後、薬剤師を目指すことにしました」

「女川町はこのままではいけない。
 自分が女川町を支えられる人間になりたい。」

「ここで集中して勉強して、消防士になる夢を叶えたい」

 日本中と比較しても、公共心を持って職業選択を
 目指す子どもたちが、本当に多くいます。

 私のクラスでも、看護師志望が半分で、
 福祉の仕事が1/4、自衛隊希望者も2人います。

 “主体性”、そして“公共心”をもった子どもたちが
 育っていること。

 この事実は、とてつもない被害と悲しみをもたらした
 震災の「希望」とも言える一面かもしれません。

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 実はこれを始めた当時、「この活動は3年間をめどに
 終わりにしてもよいのではないか」と思っていました。

 子どもたちが奪われた“学ぶ場”を確保して、
 失業した地元の塾の先生たちに、“雇用”を提供する。

 地元の方々の独立を支援して、私たちは徐々に
 手を引いていけばよいのではないか、と。

 でも今、行政や学校、地域の方々、そして全国から集まった
 ボランティア、遠くから見守る寄付者の皆様など、
 さまざまな立場の人たちの力がコラボレーションして、
 今までになかった、新しい教育のカタチが生まれようとしています。

 被災地に限らず、この日本では“ナナメの関係”は
 不足しています。子どもたちが希望をもって
 未来をかたち創るための環境も、十分とは言えません。

 このコラボ・スクールは、そんな日本、特に同じ過疎地に、
 新しい教育のモデルを提示できるのではないか?

 そんな可能性に、胸をワクワクさせています。

= = = = = = =

 生徒たちが震災という悲しい体験を“チャンス”に変え、
 たくましく育っているのを目の当たりにするなかで、

 「子どもたちを支える機能さえあれば、
  この東北から、誰よりも強く、そして優しい
  未来のリーダーが生まれるはず」

 この1年間、信じてきたことが、少しずつ
 現実へとなりつつある手ごたえを感じています。

 資金や人材など、現実的な問題はたくさんありますが、
 私は、このコラボ・スクールを3年以上続けたい。

 今は、そう思っています。

= = = = = = =

 もちろん、これはカタリバだけでは、できません。

 大事なのは、たくさんの大人たちが少しずつでも
 教育に関わってくれるように、
 “居場所”と“出番”を用意すること。 

 ボランティア、寄付、そしてさまざまな形での連携。

 これまでたくさんの方々に関わっていただき、
 ありがとうございました。

 これを読んで興味をもった方は、ぜひWebをみて、
 あなたなりの関わり方を考えてみていただければ嬉しいです。

一人ひとりが参加してできた、被災地の放課後学校

 それでは、長文にお付き合いいただき、
 ありがとうございました。

 今後ともコラボ・スクールを、そしてNPOカタリバを
 どうぞよろしくお願いいたします。

 今村久美 ~岩手県大槌町より~

 P.S.

 3月11日。皆さまはどのように過ごされましたか。

 私は大槌町で、海岸供養に参列しました。

 いろんな宗派のお坊さんのお経とともに、
 お花を海にお供えしました

 この1年間、本当にたくさんの方々に応援して
 いただきました。ご寄付いただいた方など、
 遠く離れた皆さまの分を、献花しました。

 ※写真はこちら

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