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佐藤敏郎先生が見た最前線 女川の教育現場の今

2020.5.07

 新型コロナウイルスの影響で現在、女川向学館では、オンラインで子どもたちに学びを届けています。さて、今回は女川町で長く教員として活躍されてきた佐藤敏郎先生から見たオンライン向学館についてお伝えします。

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 2月28日、多くの学校で令和元年度が突然終了した。

 教科の学習はもちろん、卒業式や修了式から逆算して、学級生活文集作成やお別れ会を計画していた学級もあっただろう。1年を締めくくる総決算の日々がそっくりなくなった。

 

▲(いつも子どもたちの笑顔が溢れている昇降口ですが、静まっています。)

 

 東日本大震災の年も、突然長い春休みに入った。その点では共通する部分もあるが、今回は目の前に瓦礫の山はない。いつもと同じ風景の中で「見えない」災害に対するこのもどかしさと不安は、誰も体験したことがない。しかも、期間の長さは9年前の比ではない。新学期につきものの桜の花びらはいつの間にか散ってしまった。

  命を守る可能性を考えれば、休校は当然の措置だが、同時に、年度末・年度初めの貴重な時間を失ったことを忘れてはいけない。子どもたちに及ぼす影響を注意深く見ていくことが必要だと思う。

 

 政府による臨時休校要請のニュースが流れた2月27日木曜の夜、向学館スタッフの睡眠時間は何時間だっただろうか。町の教育委員会と連絡をとり合い、翌朝までにオンラインでの学習支援体制を整え、29日からスタートすることができた。ネット環境が十分でない家庭のためのWi-Fiやタブレットの貸出サポートも決まった。

 

▲(オンライン向学館の準備をしているスタッフたち)

 

 まずは3月4日の公立高校の受験を控えた中3対象。9年前、震災後の混乱の中で小学校に入学した学年だ。オンラインの準備を急いだのは、最後まで彼らの伴走をするためでもあった。向学館スタッフと一緒に自習したり、質問したりするスタイルで、その後間もなく他の学年も始まった。

 

▲(はじめは少ない人数が参加していました。)

 


▲(だんだんとオンラインに参加してくれる人数も増えてきました。)

 

 何度か小学校の先生も参加した。パソコンの画面越しではあるが、顔を合わせて嬉しかったのだろう。子どもたちの表情が明るくなった。先生にとってもそれは同じだろう。

 

 4月初旬、学校が再開したが、数日登校した後また休校に。次の再開時期は見通せない。

オンライン向学館は当初、臨時の居場所的な体制だったが、休校措置の延長を受けて、学年や教科などカリキュラムを伴った体制が、4月末にスタートした。状況に応じ、柔軟でスピード感のある対応はカタリバのようなNPOならではの動きだ。

 今回のような事態では、学校もNPOも、やれること、やれないことがある。それぞれが「やれること」を持ち寄って対処すべきだ。

 向学館の取り組みには普段から学校や家庭とコラボしているという背景がある。つまり「できることを持ち寄る」関係ができているということ。これは言うほど簡単ではない。両者が9年間対話を重ねてきた賜である。私は、その経緯を向学館開設時には学校側、現在はNPO側から目撃しているということになる。

いざという時にものをいうのは「普段」なんだと改めて強く思う。

 

教育は、いや生きることは「今」を積み重ねて未来に向かうことだ。東日本大震災のとき、私は被災地女川の教師だったが、2011年を「震災のせいであれもこれも出来なかった」だけにしたくない、その一心だった。「願い」というより「祈り」に近い。

子どもたちが将来、2020年の春を振り返ったとき思い出すのはどんなことだろう。「今を積む」原動力にしたい。

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またみんなで笑顔で過ごせる日常が戻ってくるように、春もがんばっぺし!

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