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大槌臨学舎 2020年度前半期の歩み

2020.10.23

    コロナ禍で始まった2020年度も前半期が終わりました。
 感染者ゼロを貫いていた岩手県でも、コロナの影響はそこかしこに現れていました。もちろん子どもたちの生活にも。
 コロナ禍でこれまで通りにはいかない状況の中でも、「子どもたちに学びを届け続けたい。」その想いでチャレンジを繰り返してきた半年間でした。
 本記事では、前半期を振り返ってみたいと思います。

 

▶ オンラインで始まった新年度

 

 3月に休校措置がとられたものの、岩手県内の多くの学校では、新学期から対面で授業を実施していました。大槌町内の小中学校、高校はすべて、コロナ対策をした上で4月から通常授業を開始しました。
 臨学舎では3月からすべての授業をオンラインに切り替えており、新学期も引き続きオンラインにて授業を行なってきました。(この間、生徒たち全員にiPadの貸出を行い、各家庭でも、アプリを使って学習ができるようにしていました。)
 子どもたちは帰宅後、iPadを使ってオンライン授業に参加します。出席率はまったく落ちることなく、子どもたちは柔軟にこの環境に対応していました。
 オンラインに慣れてきた子どもたちは、休み時間にみんなでオンライン上でお絵描きをして楽しんだり、スタッフが考えたゲームをしながらオンラインならではの遊びを楽しんだりしていました。
 しかし、オンラインでの生活が長引くにつれて、少しずつ疲れが見えてくることもありました。「いつコラボに行けるの?」と寂しそうに話す声も聞こえてきました。

 

コロナ禍での校舎引越し

 

 子どもたちの来ない臨学舎では、引越しの準備がされていました。持っていくものと必要としてくださる方にお譲りするものとを分けたり、箱詰めしたり。

 6月に入り、本格的に荷物の移動を始めました。引越し先は大槌高校。地域の方たちが仕事を終えた後に引越しの手伝いに来てくださいました。今回の引っ越しも、様々な方のご協力により、無事に終えることができました。

 

(高校内だけど、高校じゃない特別な雰囲気を持つ場所にするために床を張り替えました!)

 

▶ いよいよ対面授業へ

 6月、校舎移転をきっかけに、臨学舎では対面授業へと切り替えました。
 必修授業は全員が校舎に来て出席することになりましたが、選択授業では送迎の関係で、オンライン出席を選択する子どもたちもいます。オンライン授業と対面授業。子どもたちにとって学びの選択肢が増えたことは、ポジティブな変化だと思います。

 

▶ 高校生による高校生のためのイベント開催

 高校内に移転したことで、高校生が気軽にコラボ・スクールに来ることができるようになりました。
 7月には、昨年度のマイプロアワードに出場した生徒たちが、同級生・後輩たちに自分自身が取り組んできたマイプロジェクトについて話すイベントをコラボ・スクールにて実施しました。プロジェクトを通して、どんなことを感じたのか、どんな学びを得ることができたのか、高校生自身の言葉を通して語ってくれました。
 1年間一生懸命取り組んだマイプロジェクト。後輩たちの前でイキイキと話す3年生たちの姿は、本当に立派でした。
 それを受け取った下級生たち。3年生は下級生にとっての憧れの存在です。なんとなく取り組んでいたマイプロジェクトをもっと真剣に考え始めるきっかけとなりました。

 

▶ 地域の方主催のオンラインイベント開催

 9月、大槌町在住の佐々木裕未さんがオンライントークイベント『こっそり ごっそり 大槌をかえよう。』を開催してくださいました。ゲスト講師は、一級建築事務所 株式会社スターパイロッツ代表の三浦丈典さん。どうやったら、地域に住む人々を巻き込んだ町づくりができるのか?様々な事例を通して、みんなで作る町づくりの工夫を伝えてくれました。
 今回のイベントを企画した佐々木さんは、三浦さんの著書『こっそり ごっそり まちをかえよう。』を読んで、直接会いに行ったのをきっかけに、「大槌の子どもたちにも三浦さんの話を聞いてほしい」「震災後の町を好きになってほしい」と思い、今回のイベントを企画しました。実は、佐々木さん自身が大槌高校の卒業生。「高校生だった自分にいちばん聞かせたくて企画した」と明るい笑顔でお話ししてくださいました。
 当日は、三浦さんのいる東京の事務所とコラボ・スクールをオンラインでつなぎました。高校生だけではなく、地域の若手社会人も参加してくださり、三浦さんの話を聞きながら、大槌町でどんなことができるんだろうと思いを巡らす時間となりました。
 後日、高校生に感想を聞いたところ、「大槌でももっと子どもたちの遊び場をつくりたい!わくわくした!」と話してくれました。

(講師の三浦丈典さん。画面の向こうから話してくださいました。)

 

 本当にチャレンジが多い半年間でした。そんな中でも環境に柔軟に対応しながら学んでいく子どもたちの姿に感動しました。今後も制限がある状況は続いていきますが、最善を尽くしながら、中学生、高校生の学びの環境をつくっていきたいと思っています。