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【被災地の教育現場 vol.22】 3.11を学びに変える

2016.3.08


震災から5年が経つが、連日メディアの取材を受ける。「5年」という区切りの数字のせいだと思うが、昨年までよりはるかにその数は多い。

ほぼ100%「この5年を振り返ってみてどうですか」と聞かれる。
変わってきたこともあるし、何ら変わらない部分もあるが、少なくとも景色は変わった。

生徒と避難した丘の上から、町が流されていくの見ていた5年前。
翌朝、壊滅した町の風景を見て立ち尽くし、息を飲んだ。これから先、どうなるのか想像もつかなかった。駅が建って、商店街ができるなんて到底想像できなかった。

やがて、山と積まれたガレキが、徐々に片づき、かさ上げ工事が始まった。予定の高さを聞いて、気が遠くなったものだが、いつの間にか高台の病院や学校がすぐ目の前の高さになっている。
でも、それは毎日土を運び続けた結果で、急に現れた風景ではないし、今も毎日ダンプが行き交い、重機の音は響いている。

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壊れるのはほんの数時間でも、作り直すのは時間がかかるし、元通りになるのではない。
もう見られなくなった5年前までの景色が、たまらなく愛おしい。
記憶の中の女川の町、あの人やこの人の笑い顔…。

「『風化』についてどう思いますか」という質問も目立つ。

5年経っても、仮設住宅に万単位の人が暮らしている。
被災地にいて3.11が風化することはあり得ない。でも、自分だって、遠くで大災害や大事故が起きても、メモリアル的な報道でしか思い出さなかった。
私は震災時に女川の中学校に勤務していて、その後、防災担当になった。そして、次女が石巻市の大川小学校で犠牲になった。取材しやすいに違いない。

震災体験は名誉なことでもめでたいことでもない。
メディアに自分の名前が出る度に、胸がザワッとする。マイクやカメラを向けられるのは苦しくて仕方ない。そっとしてほしい。でも、できるだけ丁寧に応じることにしている。

防災意識をはじめとして、あの日から今日までに気づいたこと、見直したことが数多くある。もし、それを5年前にも分かっていたら、もっともっと悲しまなくて済んだはずだ。失う前に気づくべきことなのだ。「かけがえのない命」なんて言葉を何百回も使っていたが、どれほどの重みで口にしていたか…。

他の地域での災害や事故の報道を見て「かわいそう」「大変ですね」「頑張ってください」だけだった自分を悔やんでいる。この反省を絶対に無駄にしてはいけない。

カタリバと活動を始めて「3.11を学びに変える」というコンセプトにたどり着いた。
その一つとして、昨秋、関東の高校生の教育旅行をプロデュースした。豊富な資料を使い、事前、事後学習にもしっかり関わり、現地を詳しく案内し、被災地の高校生とのディスカッションも取り入れた。彼らは学校に帰ってすぐに、自分たちの言葉で語り、行動を始めた。

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「Befor-After」じゃないけれど、その変わり様は驚くほどだ。
( 詳細→ http://www.katariba.net/news/2016/01/20972/ )

この前、東京のカタリバで教員や教員志望の皆さんと「3.11×国語」というセミナーも行った。3.11は価値のある「学び」に変えられるのだ。

震災は忘れても、震災で学んだことは忘れない。そんなふうになればいい。

女川さいがいFMのパーソナリティーも始めて、もうすぐ2年になる。マイクの向こう側がたしかに感じられるようになった。マイクは嫌だが、その向こうにいる方々は大切だと思う。
きっといつも聞いていてくれている。

≪つづく≫

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▼カタリバ教育旅行の詳細はこちら
http://www.katariba.net/news/2016/01/20972/

▼教育旅行実施後の高校生の活動(湘南学園高校HP)
http://www.shogak.ac.jp/highschool/archives/41045/
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