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【被災地の教育現場 vol.24:最終回】 いろんな角度があっていい

2016.3.31

先日、向学館に大学合格を報告しに来た生徒がいた。震災時は中学生だった。スタッフの拍手を浴びる生徒を見ていて、5年間のあれこれを想い、感慨深かった。

今でこそ「防災」とか「命」の話をする人みたいに言われるが、以前から私を知る人からすればそれは違うイメージだろう。

担当教科は国語だが、学校行事や生徒会活動、学級作り、部活動といった、特別活動に燃えるタイプで、帰りの会では毎日レクリェーションコーナーがあったし、学級だよりに4コマ漫画を載せたり、ギター仲間と地元のフォークコンサートに出演したりと、典型的なイロモノ系の教師だった。

俳句の授業では、サラリーマン川柳作りみたいなことばかりやっていた。大変申し訳ない(汗)
社会教育主事として女川町の生涯学習課(公民館)に派遣され、子どもから高齢者までを相手にいろんな活動をしていたこともある。

それが今、いろんな経緯を経て、カタリバと出会い、こうして文章まで書いている。特に2011年からの展開は、自分でも驚く。

向学館が出来た年、私は女川第一中学校(現女川中学校)の教務主任で、突如、女川にやってきたカタリバと名乗る若者達を興味深く見ていた。

震災の年は混乱の中で、子ども達の様子は学校としてもいろんな心配があった。中学生ぐらいになると、大人も大変なのを知っているから、我慢して、ストレスをため込んでしまうこともあったはずだ。女川第一中学校で、震災後数ヶ月は保健室の利用がほとんどなかったということでも分かる。

そんな中で、向学館のスタッフは、ただ勉強を見てくれるお兄さんお姉さんとしてだけではなく、先生や親に言えないことを相談できる存在にもなってくれた。どんなに心強かったことだろう。
向学館の提供した「居場所」とはただ空間があるだけではない、心を安心して置いておけるところでもあったのだ。

彼らはよく学校に足を運び、我々教員と話した。
「子ども達にどう接すればいいのか」「どうすれば学習効果が上がるのか」…子どものために最善を尽くそうと熱心に聞いてきたのだ。一口にナナメと言っても、いろんな角度がある。それが故の試行錯誤を、向学館ではいつも繰り返している。

ときには真正面に近い角度でぶつかって、ときにはそばを並んで歩く。
当時、今村久美さん(カタリバ代表)にこんなメールを送った。

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大人が本気になることが、子どもを変える最大の手段です。子どもは大人の本気度に敏感です(無意識の場合も多いけど、敏感です)。特効薬的な対策が思いつかなくても、今村さん達の想いは子どもたちに確実に伝わります。想いが伝われば、自ずと子どもは動くはずです。

向学館のスタッフの様子を見てそう思いました。同時に、自分たちもしっかりしなくちゃと反省もしました。
さっきも向学館のスタッフが来て、今後の向学館の構想について話をしました。彼らと話していると、「子どものためにどうあるべきか」っていう本質的なことを考えさせられます。

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生徒は横、先生や親は縦、縦と横はしっかり垂直に組む柱だ。それにナナメ(筋交い)が加わるともっと頑丈になり、高くなっても大丈夫。筋交いがないと建物はぐらついてしまう。あれから現在に至るまで、向学館は女川の子ども達をナナメの関係で支えている。

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1年間ご愛読ありがとうございました。
本連載をを開始した4月に、ひとまず1年間を区切りとしてスタートしました。
4月以降の連載につきましては、現在、企画・検討中でございます。おってご紹介させていただけましたら幸いです。

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