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15歳の君へ~震災があったからという理由で夢を諦めてほしくない~

2019.3.08

宮城県女川町にて認定NPO法人カタリバが運営する、被災地の放課後学校コラボ・スクール女川向学館。今回はこの春、中学校を卒業する中学3年生の3年間の成長の様子をお伝えします。

向学館に通う中学3年生は現在27名。震災当時小学校1年生(4月には2年生)だった子どもたちは、8年の月日が経ち、小さな子どもから、若者へと成長しました。
向学館がはじまったのが2011年7月。この場所は、震災があったから夢を諦めたという子がいないようにと、心のケアと学習支援を目的に開校された女川の子どもたちのための放課後学校です。

中学校に入学してからの3年間、子どもたちは向学館で様々なことに取り組みました。勉強はもちろん、新しいことにチャレンジした子どもたち。心も身体も3年前から大きく成長した子どもたちの様子をお伝えします。

<1年生夏>

中学1年生の頃には、女川の魅力を伝える15秒の劇にチャレンジしました。


何度も準備をして迎えた発表会当日、どのチームも自分たちらしい15秒劇を発表することが出来ました。

この日を迎えるまでには、女川の魅力をまずは自分たちがもっと知ろうということで、町に出て観光客や商店街のみなさんに、インタビューも実施しました。自分から話しかけるのが怖いと最初は言っていた子どもたちですが、何度も挑戦するうちに、自分から「今お時間いいですか?」と声をかけられるようになりました。やったことがないことにチャレンジするのは勇気がいることですが、この夏のチャレンジで子どもたちは一歩成長することができました。
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<1年生冬>
冬には、プログラミング教室を開催!
パソコンを操作することで思い通りに車を走らせるようと四苦八苦しながら取り組みました。



黙々と作業することが得意な子
指示を出すのが得意な子など仲間と協力し合って車が動いた瞬間はみんなとっても嬉しそうでした。
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<2年生夏>
2年生の夏には東京の大学生を呼んで一緒に交流。


利害関係のないちょっと年上のセンパイだからこそ、話せる自分の悩みや今の想い。
語り合うことで見えてきた将来の目標。
なりたい自分についてちょっとだけ考えるキッカケになりました。
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<2年生冬>
2年生の秋から本格的にはじまった探究授業は、向学館でも初めての試みでした。
創作料理、ものづくり、プロジェクションマッピング、フリーペーパーの4チームに分かれて半年間かけて授業を展開。

▲一眼レフカメラで女川の魅力を伝えるフリーペーパーを制作しました。

▲子どもたちが制作したプロジェクションマッピングの様子。当日は200名以上の人が
観に来てくれました。

▲3月の復幸祭ではONAGA-1FESTA(食のイベント)で1位を獲得出来ました。

1つのものごとに真剣に向き合い、探究することで見えてきたのは「新しい自分」
この半年の出来事は、きっと子どもたちのこれからを生きるヒントになると思います。

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<3年生>
3年生では、部活が引退した秋以降本格的に受験勉強が開始。


最初はなかなか勉強に集中できなかった子たちも、冬が近づくにつれて自分の課題に自分から取り組めるようになりました。

合格発表は、はにかむ笑顔が印象的でした。

長い人生で見ると、中学校生活の3年間は本当にあっという間です。
まだあどけない姿だった中学1年生の頃から比べると、みんな立派に成長し、子どもからいつの間にか一人の若者へと成長しました。

「震災があったからという理由で、自分の夢を諦めないでほしい。」
これは向学館設立当初からそして今も私たちスタッフが持っている想いです。

新たな道への旅立ちの春、たくさんの思い出を胸に、頑張っぺし!