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~出会いと機会を生み続けた場所~向学館10年目に寄せたあるスタッフの想い

2020.7.08

9年前の7月4日、女川向学館が開館しました。

子どもたちになにができるか考え続けた試行錯誤の毎日。

向学館が歩んできた日々を、立ちあげから一緒に活動してきた山内先生に語っていただきました。

 

▲中学3年生に英語を教える山内先生▲

 

■山内先生が向学館に入ったきっかけを教えてください。

 震災があったときは大人も子どももみんな途方に暮れていました。時が経つにつれて、町のために自分のできることをやろうとする人がぽつぽつと現れてきました。

 学習塾を営んでいたので「子どもたちに勉強を教えることが町のためにできることだ」と思い、自分の学習塾を無料で開放しました。そんなときに、「被災した子どもたちへの支援を模索している人が居るのだが会ってみないか?」と知り合いから声がかかりました。そして出会ったのがNPOカタリバであり、代表の今村久美さんでした。

 「お金を集めることはできる。その集めたお金をどう子どもたちのために使うか一緒に考えてほしい」と久美さんに誘われました。最初は話に加わるぐらいだったのですが、徐々に準備を手伝うようになり、結果的にはカタリバの仲間として開館の日を向かえるようになりました(笑)

 

■向学館が開館してからはどんな日々を過ごしていましたか?

 「模索の日々」でした。前例も模範も無い中で「今自分たちがやっていることは正しいことなのか?」と自問自答していました。誰も正解が分からないという状況で、1人の子どもがぽろっと話した本音について深夜まで語り合うということも珍しくはありませんでした。立場も経験も違う人々が毎日対話し、運営できていたのは「勉強を通して子どもたちの居場所を作る」ということで全員の目線が合っていたからだと思います。

 

▲かつての子どもたちと山内先生▲

 

■9年間子ども達と接していますがどんな変化がありましたか?

 「夢をもてるようになった」と感じています。震災直後の町は目も当てられない悲惨な状況であり、子どもたちの親も意気消沈している状態でした。中学3年生の女の子に「こんな状況で勉強して何になるの?」と言われたときは返す言葉がありませんでした。大人に心配をかけないように自分の本音をみせないようにしていた子どもたちもいましたね。そんな状況だからこそ本音で話せる向学館という居場所は必要である、さらには「子どもの笑い声があふれる町にしよう」とみんな思っていました。

 あれから9年がたち、子どもは自分のやりたいことや本音を言えるようになってきたと思います。さらには、多くの方から支援をいただき人に感謝する気持ちも培われたのではないかと思います。

 

山内先生の2人のお子さんたち

 

山内先生の2人のお子さんたちも向学館に通っていますが、女川の保護者にとって向学館はどんな場所と感じていますか?

 「出会いと機会を与えてくれる場所」だと思っています。塾でも学校でも無い、たくさんの人と出会える向学館は知識はもちろん、知識以外の大切なものも学べる場所だと思います。例えば、英会話の授業。今でこそオンラインで、いつでも、どこでも英会話できるようになりましたが、9年前は震災直後のこの状況で英会話ができることにとても驚きました。さらには、プログラミングや商売を学べる授業など、子どもたちが意欲的になれる授業が本当にたくさんあると思っています。

 

向学館は全国のみなさんからいただいたご支援で運営しています。応援してくれているみなさんへの想いを教えてください。

 継続して支援いただき本当にありがたく感じています。寄付があるから9年間、向学館は継続できたので、一スタッフとしてさらには子どもを通わせている保護者として感謝しています。

 さらに、開校当初から毎年欠かさず来てくれる水津先生(2月のブログ参照)にも大変感謝しています。毎年受験直前の1月終わり頃、短期間で国語の講座を開いてくれます。いまでは”冬の風物詩”となっていますね(笑)

 こういった人たちに支えられてなんとかやってこれました。これからもこのような想いをしっかり受け止め、子どもたちにとっていい環境を提供していきたいと思います。

 

女川へ9年間通い続ける 国語教師の物語 ~高校受験に立ち向かう生徒たちへ~

 

■山内先生にとって向学館はどんな場所ですか?

 知識だけではなく学びやチャンスを手にできる場所、「コラボ・スクール」は塾屋の自分では思いつかなかった概念でした。それはナナメの関係を体現しているカタリバの若者の力があったからこそ出来たことだと思います。彼らの背中をみて、自分も成長の機会を与えてもらったと思っています。

 

▲向学館立ち上げを行っている今村久美とスタッフたち▲

 

 若いといえば、代表の久美さんは辛いことがあっても自分たちの信念を曲げずに突き進む感じがとてもすごいと思いました。

 向学館立ち上げのとき、下の写真をみせながら「こういう子どもたちに居場所を届けたいんだ」と熱く語っていた姿を覚えています。今でも向学館で働いているのはあの日、久美さんの熱意に心を動かされたからだと思います。久美さんたちのそのエネルギーはいまでも向学館に受け継がれていると信じてます。

 

▲仮設住宅の外で勉強している当時小学3年生の男の子。今は高校3年生になりました▲

 

▲向学館の前にあった仮設住宅も撤去されています▲

 

仮設住宅は撤去され、町の道路もほぼ完成しています。

10年目の女川は復興に向けて、さらにはその先の未来に向けて着実に歩んでいます。

山内先生も言っていたように、様々な形でたくさんの支援と応援をいただけたからこそ9年間継続して運営することができています。

支援と応援に心から感謝し、子どもたちのために初心に戻り励んでいきたいと思います。

 

女川向学館10年目もがんばっぺし!

 

▲2020年度の女川向学館スタッフ▲

【説明会実施中!】教育課題にとことん向き合う1年間 『実践型教育インターン』

活動場所は、宮城県女川町・岩手県大槌町、福島県双葉郡、島根県雲南市、熊本県益城町、東京都足立区、東京都杉並区。子ども、地域、自分ととことん向き合い成長したい方、募集しています。