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地震から2年 熊本県益城町の今

2018.4.12

こんにちは。熊本から井下がレポートします。

2016年4月に起きた熊本・大分地震から、2年が経とうとしています。

2年前、中学校の入学式が開催されたその週末に、大きな揺れが熊本県益城町を襲いました。当時、入学したばかりの中学1年生は真新しい制服に袖を通し、不安と期待の気持ちいっぱいで中学校に通い始めたところでした。その生徒たちは今、新中学3年生です。

校舎が崩れ、給食センターも崩れ、見慣れた町の様子も、通学路も変わってしまったその日から、彼らはどのように日々を過ごしてきたのでしょうか。

今回は、益城町の新中学3年生を対象に行った「阿蘇合宿・立志の会」と、新学期の益城町の中学生の様子の、2つの話題をお伝えします。

2018年3月31日~4月1日の1泊2日、阿蘇青少年交流の家にて「阿蘇大自然の中で自分のこれからについて考える2日間」という合宿イベントを開催しました。

益城町内の新中学3年生18名が参加しました。彼らをサポートするボランティアスタッフは、県外や東北からの方も含めて14名が集まり、子どもたちが中学2年生から中学3年生になるタイミングを、阿蘇で一緒に過ごしました。

▲最初は阿蘇杵島岳をスタッフとともに登りました。

きれいな景色を見て、インストラクターの方から山の成り立ちについて教わり、頂上でお弁当も食べました。少しずつスタッフと打ち解けていく姿がありました。

▲東日本大震災当時小学校6年生で、中学校時代から女川向学館に通っていた、現在19歳の木村夏須美さんと、鈴木元哉さんもボランティアスタッフとして参加してくれました。益城の高校生が女川で学んだ「東北スタディツアー」で、地震後の7年の間の自身の経験を語ってくれた2人です。

この他にも、震災直後に東北で活動していたスタッフや、現在福島のコラボ・スクールで活動しているスタッフ、熊本が地元のスタッフなど、それぞれが思いをもってこの合宿に参加してくれました。

▲参加した中学生は、2日間かけて自分の「これまで・いま・これから」についてスタッフと語り合いました。

小学校から中学校に上がる際は、進路についてはほとんど何も考える必要はありませんでした。ところが中学校から高校にかけては選択肢が多いため、自分で考えていかなければなりません。

特に益城町には高校がないため、高校受験をする場合は町外の高校を受けることになります。熊本市と隣接していることもあり選択肢となる高校の数はかなり多く、これまでの卒業生の進学先もさまざまです。

そんな状況の中で彼らは、自分がこれからどんなことを大切にしていきたいのか、考え抜きました。

▲合宿の最後に、益城町交流情報センターにて「立志の会」を開催しました。

益城町教育委員会教育長の酒井様、益城町立木山中学校校長の河瀬様、保護者の方々、ましき夢創塾に関わりのある高校生が、観覧者としてご参加くださいました。

司会を務めてくれた藤野爽さんは、昨年の同合宿の参加者。新・高校1年生です。

▲参加した新3年生より、「14歳の決意」というタイトルの作文を一人ひとり発表しました。

2日間かけて自分と向き合い、これからについて考えたことを等身大の言葉で語りました。発表後は観覧者の方々から一人ひとりにメッセージカードを書いていただき、渡していただきました。

▲また、発表を行った中学生を、彼らの先輩である高校生たちが応援していた姿も印象的でした。

3月に実施した「やくそく旅行」や、学習会、マイプロジェクトなど、カタリバの活動に参加している高校生(新・高校1年生含む)が、運営ボランティアとして参加。受付、会場設営、音響、メッセージカード作成など、意欲的に立候補してくれ、実施することができました。

そんな高校生から中学生に送られたメッセージカードには、高校生が自分の中学3年生の頃を思い出しながら、思い思いの言葉で中学生を応援するメッセージがつづられていました。

2018年4月9日、益城町立木山中学校で、入学式が開催されました。今年も、来賓として参加させていただきました。

先月まで小学生だった新入生も、きりっとした表情で入場していて、頼もしさを感じました。いよいよ新学期の始まりです。

▲新学期の学習会が始まる前に、関わるボランティアスタッフによる自主的なミーティングが開かれました。

それぞれがこの活動に関わる理由、中高生との関わり方、学習会の目的など、日頃感じていることを語り合う機会となりました。

▲4月10日(火)より、新学期の夜間学習会が始まりました。昨年度と同様、益城町内のテクノ仮設団地、木山仮設団地にて学習会を行っています。

初日には、早速、新中学1年生が参加してくれました。嬉しそうに教科書を開く姿がみられました。

震災から2年。中高生たちはいつも落ち込んでいるというわけではなく、普段は笑ったり遊んだりじゃれ合ったりと、明るくふるまう様子がよく目に入ります。

しかし、仮設住宅やみなし仮設での暮らしは今も続いています。町ではがれきの撤去は進んでいますが、まだ新しい街並みは見当たりません。

そんな中でも、中高生が心を落ち着かせることができて、少し前向きになれるような場所を、これからも作っていきたい。震災から2年になる今、改めて思います。